私の婚約が発表される日。

王宮のバルコニーから見える街には、沢山の国民が集まっていた。

隣にはクラヴィスがいて、あとはもう国民の前に出て挨拶をするだけ。





一歩。





また一歩。





バルコニーに出れば、国民が拍手をしながら私を迎えてくれている。

学園の生徒の評判が変わり始めたと同時に、リーリルがまた王女の噂を街へ広げた。


「悪女の噂は嘘だった」、と。


それでも、まだ悪女の噂を信じている者も多いだろう。

それに、いま私に求められている言葉が何か分からない。

だから……





「今見えている私はどんな王女ですか?」





「噂通りの大悪女? それとも、噂とは違う人物に見えますか?」

「きっとどの予想が正しいかは、誰にも分からないでしょう。だから、宣言だけしますわ」







「私はこれからも立派な王女を目指します。だから、どうか見ていて下さいませ」

「これからの私を。これからのユーキス国の未来を」







さぁ、明日も進むために、いま前を向くんだ。




fin.