「真の“花嫁”であることの証左、確かに見届けた。なんじらの国、現世とへ戻るがよい」
『では、イチを───』
「朔の力なくとも、いまのなんじならば、“花嫁”と共になんじの屋敷に戻ることも可能なはず」
『しかし、私はまだ』
唐突にかかった煌の言にとまどう双真に、ホホ……と、猪子が笑った。
「いつまでもあの者に頼りきりではなりませぬよ、赤狼殿。ご自分で為せることは、ご自分でせねば。
───初めて為す空間の転移も、良く知る屋敷ならば、造作ありますまい。
さぁ、自信をもって、思いを馳せてごらんなされ」
もっともな助言を猪子にされ、返す言葉がない双真に対し、うながすように瞳子も微笑んでみせる。
「帰ろう? 私たちの家に」
『瞳子……』
(オレの……“神獣”としての、力で、帰る……?)
双真は己の身の内に、“神獣”本来の力量が備わっているかを問いかけ───手応えを、感じた。
思いきって告げる。
『では、瞳子。オレに、しっかりつかまっていてくれ』
「うん!」
やわらかく弾む声と共に、瞳子の両腕が首の後ろに回される。
甘くかぐわしいその匂いを吸い込み、双真は目を閉じた───自らの力の発動に、集中するために。
『では、イチを───』
「朔の力なくとも、いまのなんじならば、“花嫁”と共になんじの屋敷に戻ることも可能なはず」
『しかし、私はまだ』
唐突にかかった煌の言にとまどう双真に、ホホ……と、猪子が笑った。
「いつまでもあの者に頼りきりではなりませぬよ、赤狼殿。ご自分で為せることは、ご自分でせねば。
───初めて為す空間の転移も、良く知る屋敷ならば、造作ありますまい。
さぁ、自信をもって、思いを馳せてごらんなされ」
もっともな助言を猪子にされ、返す言葉がない双真に対し、うながすように瞳子も微笑んでみせる。
「帰ろう? 私たちの家に」
『瞳子……』
(オレの……“神獣”としての、力で、帰る……?)
双真は己の身の内に、“神獣”本来の力量が備わっているかを問いかけ───手応えを、感じた。
思いきって告げる。
『では、瞳子。オレに、しっかりつかまっていてくれ』
「うん!」
やわらかく弾む声と共に、瞳子の両腕が首の後ろに回される。
甘くかぐわしいその匂いを吸い込み、双真は目を閉じた───自らの力の発動に、集中するために。



