一瞬、光の加減か、赤く光ったようにも見えたが、じきにそれは黒い瞳で双真に視線を移した。
「ひとつ、大事なことを申しつける。
───書かれた文言には、一言一句背かずに為すこと。良いな?」
「…………はい。承知いたしました」
双真の了承を見届け、黒髪の少年が瞳子に無邪気な笑みを向けた。
「ではな、“上総ノ国”の赤い“花嫁”。なんじの無事の帰還を“陽ノ元”にて待つ。
……そうじゃ、こちらは我に対する献上の品としてもらっておこうかの」
言うなり、少年は瞳子たちの目の前から消え失せた。
あとには、近くの竹林が通り抜ける風を受け、さざめくのと。
瞳子の手の内、確かにあったはずのドーナツの入った紙袋が失われていて。
瞳子は、狐につままれたような心地となった……。
遅い昼食を摂り終え、『祝い』と称して渡された漆塗りの小箱を前に、二人、ひざを突き合わしていた。
双真の説明によれば。
先程の少年が、あの姿ではあるが、“陽ノ元”において“神獣”たちを束ねる長であり、今回、双真を【こちら】に送り届けてくれたヘビ神の“化身”らしい。
名を煌といい、瞳子と双真が“陽ノ元”に帰るために手を貸してくれるはずの───時空を越える力をもつ神様のようだ。
「ひとつ、大事なことを申しつける。
───書かれた文言には、一言一句背かずに為すこと。良いな?」
「…………はい。承知いたしました」
双真の了承を見届け、黒髪の少年が瞳子に無邪気な笑みを向けた。
「ではな、“上総ノ国”の赤い“花嫁”。なんじの無事の帰還を“陽ノ元”にて待つ。
……そうじゃ、こちらは我に対する献上の品としてもらっておこうかの」
言うなり、少年は瞳子たちの目の前から消え失せた。
あとには、近くの竹林が通り抜ける風を受け、さざめくのと。
瞳子の手の内、確かにあったはずのドーナツの入った紙袋が失われていて。
瞳子は、狐につままれたような心地となった……。
遅い昼食を摂り終え、『祝い』と称して渡された漆塗りの小箱を前に、二人、ひざを突き合わしていた。
双真の説明によれば。
先程の少年が、あの姿ではあるが、“陽ノ元”において“神獣”たちを束ねる長であり、今回、双真を【こちら】に送り届けてくれたヘビ神の“化身”らしい。
名を煌といい、瞳子と双真が“陽ノ元”に帰るために手を貸してくれるはずの───時空を越える力をもつ神様のようだ。



