「一葉殿がせっかく用意してくれたんだから、まったく使わないのは失礼にあたらないか?」
という、瞳子にはよく解らない理屈で双真に押し切られ、有り難くその精算手段を利用させてもらったのは。
白髪白ひげ黒蝶ネクタイの紳士が目印のファストフード店と。テレビで紹介されてから一躍有名になったアメリカンスタイルのドーナツ店だった。
それらの店に寄ってから戻った、白河邸の玄関先。
小学生くらいの男の子が、なぜか二人を待ち受けるかのように立っていた。
民家もまばらな山の中で、大人ならまだしも、一人歩きで来られるような場所ではない。場違いな訪問者に、瞳子が驚いていると。
「カカ様……」
と、つぶやき絶句した双真に、容姿に似合わぬ狡猾な笑みを浮かべ、その少年が言った。
「ふむ。“花嫁”と再会し共に在れることによって、我の存在をすっかり忘れていたと見える」
「いえ、あのっ……、そのようなことは、決して……!」
「良い良い。一葉からも先に報告を受けておったからの。
今日はなんじらに祝いを届けに参っただけ。……適切な『たいみんぐ』で遣うと良いぞ」
ほれ、と、恐縮してかしこまる双真に対し、漆塗りの小箱を差し出す『カカ様』と呼ばれた少年。
ちらり、と、その眼が瞳子に向けられた。
という、瞳子にはよく解らない理屈で双真に押し切られ、有り難くその精算手段を利用させてもらったのは。
白髪白ひげ黒蝶ネクタイの紳士が目印のファストフード店と。テレビで紹介されてから一躍有名になったアメリカンスタイルのドーナツ店だった。
それらの店に寄ってから戻った、白河邸の玄関先。
小学生くらいの男の子が、なぜか二人を待ち受けるかのように立っていた。
民家もまばらな山の中で、大人ならまだしも、一人歩きで来られるような場所ではない。場違いな訪問者に、瞳子が驚いていると。
「カカ様……」
と、つぶやき絶句した双真に、容姿に似合わぬ狡猾な笑みを浮かべ、その少年が言った。
「ふむ。“花嫁”と再会し共に在れることによって、我の存在をすっかり忘れていたと見える」
「いえ、あのっ……、そのようなことは、決して……!」
「良い良い。一葉からも先に報告を受けておったからの。
今日はなんじらに祝いを届けに参っただけ。……適切な『たいみんぐ』で遣うと良いぞ」
ほれ、と、恐縮してかしこまる双真に対し、漆塗りの小箱を差し出す『カカ様』と呼ばれた少年。
ちらり、と、その眼が瞳子に向けられた。



