神獣の花嫁〜あまつ神に背く〜

それが瞳子を元気づけるための方便だと解っていても、瞳子は、返り討ちに()うだけだからやめてと笑い返したりもした。

(だから……もう、心配しないでね……)

身体の弱かったこと、そして、いろいろと無理が(たた)ったこと。病床の(ふち)からも、瞳子の身を案じ、励ましてくれた。

生きている時に、安心させてあげられたら良かったけれど。もう、悔やんでも悔やみきれない。

それでも、こうして報告ができるのが、せめてもの朱鷺子への供養になることを信じて。
瞳子は、双真と連れ立って、朱鷺子の墓前を後にしたのだった。



「アンタ、ずいぶん真剣な顔して手を合わせてたけど……何考えてたの?」

帰りの車中、すいすいと流れる交通状況で他愛なく双真に尋ねてみる。
ああ、と、軽い相づちののち、答えが返された。

「最初に叔母上へ自己紹介をして、それから瞳子を慈しみ育ててくれたことに感謝を述べた。あと、オレがどれだけ瞳子を想っているかを事細かに伝えて、それから」
「───もういいわよ! ありがと!」

自分で訊いておいてなんだが、失敗した。こそばゆくて、運転に集中できない。

助手席で、小さな笑い声があがる。