「行ってきまーす!」
翌日、あたしはいつもよりも早めに起きて、急いで考人の家に向かった。
今日は一時間目と二時間目に体育の授業がある。
5年生クラス対抗バスケットボール大会の練習のためだ。
学校に着いたら、すぐに着替えて、体育館に向かわないといけない。
大会に出る考人はいつもより早く、学校に行く可能性がある。
急がないと、考人に置いていかれてしまうかもしれないもん。
「杏」
そう考えていたら、隣からあたしの呼ぶ声がした。
あたしははっとして勢いよく振り返る。
「……おはよう」
「おはよう、考人」
玄関前でばったりと出くわした考人は、今日も素っ気ない対応。
でも、あたしにとっては温かくて、見ているだけで幸せになる存在だ。
「今日は朝からバスケの練習があるんだよね」
わくわくする気持ちを押さえきれず、あたしは声を弾ませながら通学路を歩いた。
学校に着くまでの間に、あたしたちは昨日の件を踏まえながら話していく。
「考人、他のクラスって強いの?」
「分からないけど、多分、僕たちよりも強い人がいるかも」
「そっか。かなり手強そうだね」
あたしは空に目を向けて、考えるような仕草をした。
「考人は将来、なりたいものがある?」
「急に何を……」
「あたしは将来、なりたいものがあるから、そのために頑張っているの」
初耳ばかりの告白に、考人は驚きに目を見開いた。
「将来の夢? お天気キャスター?」
「それもあるけど、あたしにとって一番大事なことなの」
「大事なこと?」
考人の真剣な声が、胸に心地よく響いた。
「考人。ふたりだけの秘密だからね」
あたしはそう言うと、考人に近づいた。
一気にあたしの表情の輝きが増していく。
「あのね……」
「……ん?」
あたしは背伸びする。
そして、考人の耳元に顔を近づけて、内緒話をするように小声でささやいた。
「考人のおよめさん」
特別な告白。
考人だけに聞こえる声で応えると、あたしはえへへと含みのある視線を送った。
だけど……。
考人はそっぽを向くと、さっさと歩き始める。
「…………」
「あ。考人、待って……!」
あたしは慌てて考人の背中を追いかけた。
うー、いいもん!
今は……あたしの想いに応えてくれなくてもいい。
だって、考人は目を逸らしつつも、ほんのりと顔を赤くしていたから。
そんな考人の姿を見れただけで十分だもん。
翌日、あたしはいつもよりも早めに起きて、急いで考人の家に向かった。
今日は一時間目と二時間目に体育の授業がある。
5年生クラス対抗バスケットボール大会の練習のためだ。
学校に着いたら、すぐに着替えて、体育館に向かわないといけない。
大会に出る考人はいつもより早く、学校に行く可能性がある。
急がないと、考人に置いていかれてしまうかもしれないもん。
「杏」
そう考えていたら、隣からあたしの呼ぶ声がした。
あたしははっとして勢いよく振り返る。
「……おはよう」
「おはよう、考人」
玄関前でばったりと出くわした考人は、今日も素っ気ない対応。
でも、あたしにとっては温かくて、見ているだけで幸せになる存在だ。
「今日は朝からバスケの練習があるんだよね」
わくわくする気持ちを押さえきれず、あたしは声を弾ませながら通学路を歩いた。
学校に着くまでの間に、あたしたちは昨日の件を踏まえながら話していく。
「考人、他のクラスって強いの?」
「分からないけど、多分、僕たちよりも強い人がいるかも」
「そっか。かなり手強そうだね」
あたしは空に目を向けて、考えるような仕草をした。
「考人は将来、なりたいものがある?」
「急に何を……」
「あたしは将来、なりたいものがあるから、そのために頑張っているの」
初耳ばかりの告白に、考人は驚きに目を見開いた。
「将来の夢? お天気キャスター?」
「それもあるけど、あたしにとって一番大事なことなの」
「大事なこと?」
考人の真剣な声が、胸に心地よく響いた。
「考人。ふたりだけの秘密だからね」
あたしはそう言うと、考人に近づいた。
一気にあたしの表情の輝きが増していく。
「あのね……」
「……ん?」
あたしは背伸びする。
そして、考人の耳元に顔を近づけて、内緒話をするように小声でささやいた。
「考人のおよめさん」
特別な告白。
考人だけに聞こえる声で応えると、あたしはえへへと含みのある視線を送った。
だけど……。
考人はそっぽを向くと、さっさと歩き始める。
「…………」
「あ。考人、待って……!」
あたしは慌てて考人の背中を追いかけた。
うー、いいもん!
今は……あたしの想いに応えてくれなくてもいい。
だって、考人は目を逸らしつつも、ほんのりと顔を赤くしていたから。
そんな考人の姿を見れただけで十分だもん。



