あたしは絵を描くことが好きだ。
絵を描いていると、自分の紡ぎ出すキャラクターたちが魔法のように動き始めるような予感がする。
満ち足りた気持ち。この時間がとても好きだ。
幼稚園の頃から、あたしと考人はいつも一緒にいた。
あそぶのも一緒。
ごはんの時間も一緒。
おひるねの時間も一緒。
そして……あたしは机の上のお絵かき帳をばさりと広げる。
「考人、お絵かき、しよ!」
「おう!」
体を動かすことが好きだった考人だけど、あたしの好きなお絵かきも一緒にしてくれたんだ。
お母さんが買ってくれたお絵かきアイテム。水で消せる魔法のクレヨンを手に取る。
ふわりと絵を描くと、優しくて温かい世界に入りこむことができた。
綺麗なお姫様やおしゃべりする猫さん、動くカボチャに魔法使いの女の子。
それらをごちゃまぜにして、あたしは次々と描いていく。
「杏、すげえじゃん!」
「えへへ!」
考人にほめられると嬉しい。
そこで、あたしはふと、視線が注がれていることに気づく。
「あれ?」
お絵かきで遊んでいる途中で誰かと目が合った。
ふわっとカールした、さらさらの髪。大きな目。
透明感のある綺麗な瞳が、あたしたちをまっすぐに見ていた。
見とれるほど、整った顔。
同じ年くらいの男の子は不思議な雰囲気をかもしだしている。
まるで物語から出てきた王子様のように見えて。
「…………」
あたしが目を向けた途端、彼の表情が気まずそうにゆがんだ。
気づかれたことに焦っているみたい。
「あの男の子は……」
あたしはポカンと口を開いた。
彼は、いつもみんなとは少し離れた場所にいる男の子だったからだ。
自分から声をかけることはほとんどない。
何故かは分からない。
けど、みんなの輪に入ることをためらっている……そんな感じがしたんだ。
どうしてなのかな?
寂しげな表情を浮かべる、あの男の子のことがもっと知りたくて。
あたしはお絵かき帳とクレヨンを持って、男の子のもとに駆け寄った。
「一緒にお絵かきしよ?」
あたしの誘いに、少し間を置いた後……。
男の子がやわらかく微笑む。
その微笑みはまるで……。
絵を描いていると、自分の紡ぎ出すキャラクターたちが魔法のように動き始めるような予感がする。
満ち足りた気持ち。この時間がとても好きだ。
幼稚園の頃から、あたしと考人はいつも一緒にいた。
あそぶのも一緒。
ごはんの時間も一緒。
おひるねの時間も一緒。
そして……あたしは机の上のお絵かき帳をばさりと広げる。
「考人、お絵かき、しよ!」
「おう!」
体を動かすことが好きだった考人だけど、あたしの好きなお絵かきも一緒にしてくれたんだ。
お母さんが買ってくれたお絵かきアイテム。水で消せる魔法のクレヨンを手に取る。
ふわりと絵を描くと、優しくて温かい世界に入りこむことができた。
綺麗なお姫様やおしゃべりする猫さん、動くカボチャに魔法使いの女の子。
それらをごちゃまぜにして、あたしは次々と描いていく。
「杏、すげえじゃん!」
「えへへ!」
考人にほめられると嬉しい。
そこで、あたしはふと、視線が注がれていることに気づく。
「あれ?」
お絵かきで遊んでいる途中で誰かと目が合った。
ふわっとカールした、さらさらの髪。大きな目。
透明感のある綺麗な瞳が、あたしたちをまっすぐに見ていた。
見とれるほど、整った顔。
同じ年くらいの男の子は不思議な雰囲気をかもしだしている。
まるで物語から出てきた王子様のように見えて。
「…………」
あたしが目を向けた途端、彼の表情が気まずそうにゆがんだ。
気づかれたことに焦っているみたい。
「あの男の子は……」
あたしはポカンと口を開いた。
彼は、いつもみんなとは少し離れた場所にいる男の子だったからだ。
自分から声をかけることはほとんどない。
何故かは分からない。
けど、みんなの輪に入ることをためらっている……そんな感じがしたんだ。
どうしてなのかな?
寂しげな表情を浮かべる、あの男の子のことがもっと知りたくて。
あたしはお絵かき帳とクレヨンを持って、男の子のもとに駆け寄った。
「一緒にお絵かきしよ?」
あたしの誘いに、少し間を置いた後……。
男の子がやわらかく微笑む。
その微笑みはまるで……。



