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課題(レポート)を終わらせたいからという理由で、進藤くんは私に先にお風呂を勧めてくれた。
……たぶん、彼の気遣いだと思う。

おまけに、
「母のですけど」
と、パジャマまで渡された。
下着だけ替えればいいかと思っていた私には、至れり尽くせりだ。

こんなに厚かましくて図々しい女に、なんて親切なんだろう。
冷え切った身体を湯船で温めていると、その優しさに涙がでそうになる。

……うん。ちゃんと、謝ろう。好きになってゴメンねって。
鍵無くしたことに(かこ)つけて、泊めてもらおうなんて最低なことしてゴメンナサイって。





進藤くんは、私がもう休んでると思ってたらしく、私のいる部屋と反対側の部屋のドアノブに手をかけたまま、驚いたようにこちらを見た。

「……枕、合いませんでしたか」

うん。わざわざ私がお風呂入ってる間に、旅館よろしくコタツのある部屋に、布団敷いてくれてたのにね。
そりゃ、逆に寝てて欲しかったよね、ごめん。

「髪、乾かさないの?」
「ああ……オレ、これで十分なので」

洗面台にあるドライヤーを指差す私に、濡れ髪をタオルで拭くしぐさで応える進藤くん。

いや、イイコ過ぎて申し訳ない。私が寝るのに音立てたら悪いとか思ってるよね。

あー、もう、本当にっ!

「ゴメン!!」