それから、私は職場でも日野下さん達に言い返せるようになった。

「深井さん、この仕事もやっておいてくれる?」

「すみません。私も自分の仕事があるので、出来ません」

まだ手は震えるけど、ずっと奏吾さんに甘えるだけの自分は嫌だった。

お昼休みに休憩室に向かうと、日野下さん達が話しているのが聞こえてくる。


「最近、深井さん、さらに腹立たない?」

「分かる。仕事ぐらい変われよ」

「御曹司に一回守って貰えたから、調子乗ってんじゃない?」


怖くない訳がなかった。

まだ私は弱いのだろうか。