「奏吾さん、私の実家についてきてくれませんか?菜々に言われたからじゃない。私ももう逃げたくないんです」

私の言葉を聞いて、奏吾さんは頷いた。

「分かった。でも……」

奏吾さんが私の頭を優しく撫でる。

「いつでも隣に俺がいることを忘れないで。それにもう昔の俺じゃないから」

「……?」

「ずっと陽月を助ける準備をしてたってこと。もう深井財閥の好きにはさせない。二度と陽月を侮辱させない」

すると、奏吾さんが私の耳元に口を近づける。



「陽月に惚れてる俺は、案外心強いよ?」



そう言って、奏吾さんはいつも通り微笑んだ。