愛されることを知らない私は、御曹司様と出会い溺愛される

午後になり、本社の人を会社の応接室で待っていると、ドアがノックされる。

緊張で心臓が速くなるのが分かった。


「失礼します」


爽やかで聞き覚えなある声に、私はパッと顔を上げた。


「っ……!奏吾さん……」


「やっと陽月に会えた。って言っても数日しか経ってないか……陽月に会えない時間が長く感じるのは、俺が陽月を好きすぎるからかな?」


前に会った時と変わらない優しい笑みを奏吾さんは私に向けてくれる。

「誰か案内役を付けてくれるとは聞いていたけど、陽月だとは思わなかったな。会えて嬉しいよ」

純粋に喜んでくれる奏吾さんに押し付けられたことなど言えるはずもなかった。