縁切り神社には今日も沢山の村人たちが集まってくる。
子供から大人まで、その神様はみんなに愛され大切にされていた。

その奥まった菜園でもまた賑やかさは変わらなかった。
ふたりの兄弟はガリガリだった体に筋肉がつき、たどたどしいながら菜園を手伝うようになっていた。

それに口を挟んでいるのは菊乃だ。
菊乃は大きなカゴを抱えるように両手で持ち、兄弟がもいだ作物を入れていく。

縁側に座ってそれを見ているのはお腹が大きく膨らんだ薫子だった。
このお腹のせいでしばらく菜園仕事は休んでいる。

こうしてみんなの様子をみることが今の楽しみだった。
「大丈夫か?」

切神が全員分のお茶を用意して薫子の隣に座った。
お茶くらい自分で煎れるというのだけれど、切神は妊娠した薫子を甘やかしっぱなしだった。

「私は大丈夫です。みんな! 切神さまがお茶を準備してくださったわよ」