「お金じゃなくて、日比野さんが欲しいな」


こ、これは結構危ない人かもしれない。

私が慌ててその場から逃げ出そうとすると、手を掴まれた。


「お代は何にしようかな。とりあえず、今日はハグでいいよ」


「離してー!こんなの詐欺だよ!?」


「やだな、そんなの分かってるよ」


いや、分かってるんかい。


「でも、もう日比野さんは詐欺師に捕まっちゃったからさ」


そう言って、水島くんが掴んでいた私の手をぐっと引っ張った。

そして、私を抱きしめる。