水島くんに「私からのキス」をお代で要求されてから、私は屋上に行くのをしばらく断っていた。

理由は、勇気が出ないのとまだ水島くんのことを好きか分からないのにキスをしてもいいと思えなかったからだ。

でも、本当は分かっていた。

もう気持ちが水島くんに向いていることは。

私は、授業中、隣の席の水島くんの机の上に小さな紙を置いた。


「今日は屋上に行くね」


そう書かれた紙に水島くんは、私と目を合わせて頷いた。