その日の休み時間も、水島くんは沢山のクラスメイトに囲まれながら王子様スマイルを振りまいていた。

クラスメイトの男子が水島くんと楽しそうに話している。

「なんか今日の水島、嬉しそうだな」

「うん、実は放課後に楽しみな用事があるんだ」

「何だよ、デートか?」

「うーん、そんな感じかな」

そう言いながら、水島くんは私の方を向いて少しだけ口角をあげる。

私はパッと顔を背けた。

デートなんて嘘つきすぎる。

ほぼ脅したくせに!

しかしどうやら隣の席の王子様な詐欺師に、私は目をつけられてしまったらしい。