「藤木さんはずるいです・・・」

「ずるくてもいいよ。君を一人で泣かせずに済むなら」

藤木さんは私を抱きしめる手の力を緩めた。


「せめて、もう遅いから家まで送らせて」


藤木さんは、そう言って私を家まで送ってくれた。

その日は、祖母が亡くなってから初めてぐっすり眠ることが出来た。