私は深く息を吐いてから、殿下のいる客間の扉をノックした。

「ノア様、お待たせしました」

「セレア!」

ノア様が椅子から立ち上がり、強く私を抱きしめた。


「セレア、どうか私以外の男に取られないでくれ。君が他の男に取られるなど嫉妬で狂ってしまう」


「ノア様・・・」


「例え、君がアレンのことを想っていると言っても、私は君を離すことの出来ない愚か者だ。どうか私を見捨てないでくれ」


「見捨てるのはノア様でございましょう・・・?」


私はようやくその言葉だけ絞り出した。