真夏に咲いた奇跡の恋花火

口角を最大限にまで上げる千葉さん。
話によると、5分で選び終わったとのこと。


学校の休み時間の半分……。オシャレさんは即断即決な人が多いのかな。

いや、山谷さんとゆまの場合もあるし、事前にイメージを固めていたのかもしれない。



「すごいね。私まだ色しか決まってないよ」

「柄で悩んでるかんじ?」

「うん。大きさとか色とか、どれが自分に合うのかわからなくて」

「わかる〜。私も昔決めきれなくて1週間悩んでたなぁ。良かったら選ぶの手伝おうか?」



思わず浴衣を落としそうになった。



「いいの……? 他のお店とか、見なくて平気?」

「大丈夫。暇っちゃ暇だけど、私だけ先に回るのもなんかあれだし」

「だ、だよね。でも、迷惑じゃ……」

「やだぁなんでよ! 私から言い出したのにそんなわけないじゃん! もしかして嫌だった?」

「いやっ、全然っ!」



耳を疑って尋ね返したけれど、聞き間違えではなかったようだ。


教室の隅からひそかに眺めていた、憧れのマドンナ。

こうやって会話してることでさえ奇跡なのに、相談に乗ってくれるって……。