「おはよう椎名さん」


朝、教室でそう言いながら優しく微笑みかけてきてくれた彼。


「お、おはよう忍くん」


私は椎名千幸。ものすごくではないけれど、ちょっとしたお嬢様だ。

そして、不幸体質。


今挨拶してくれたのは黒瀬忍くん。どうしてだかいつも、私に優しくしてくれるクラスメイトだった。


「課題終わった?」

「うん」

「偉いね」

「そ、そんなことないよ」


忍くんは優しいな。

そして……私は、最近不思議な感覚がする。


忍くんと喋ってると、胸がきゅっとして、嬉しくて切ないっ……。