「……怒られない?」

「大丈夫! お父さんもお弁当の配達頼んでるし! 私もお母さんに『卒業式の日はお寿司食べたい』って言ったらオッケーもらったから!」



可愛らしいおねだりにふふっと笑みをこぼした。

どうりで昨日、ウニとトロが多かったわけだ。



「そっか。なら早速いい?」

「おっ、なんだなんだ」

「このこと、お父さん達には秘密して」

「えっ、言わないの?」

「気まずいだろ。あと、早くこれ持ってって」



出しっぱなしにしていたノートを渡した。



「もしバラしたら、教科書もノートも全部取り上げるからね。俺がいいって言うまで絶対だからな」

「うわっ、脅迫かよ。腹黒っ」



笑顔で圧をかけると、案の定悪口で返された。


あーあ、ちょっとはいいとこあるじゃんって見直したのに。今ので台無し。

もう少し柔らかくなると、性格もいい才色兼備になれると思うんだけどな。


心の中で助言しつつも、残りの教科書を部屋まで運んであげた。