ひだまりで誓う桜色の愛

真剣な表情を浮かべて床に座った理空。自分も体を正面に向けて耳を傾ける。



「それは、ブレーキをかけてしまう原因を取り除くこと」

「ブレーキ? 車の?」

「例えだよ。お兄ちゃんは今、アクセルとブレーキを同時に踏んでいる状態。だから、進みたくても動けないの」



足を伸ばして運転の様子を再現し始めた。

免許を持っていないのにペダルの配置が合っているのは、よく助手席に乗っているからなのだろう。



「まずはエンジンを切って、車から降りる」

「ブレーキを踏んでしまう原因を探しに行くってことか」

「そう。必ずしも車の中にあるとは限らないしね」



確かにな。
わかりやすい例えに相づちを打った。


理空の言う通り、俺は今、過去という障害物に足止めされてブレーキを踏んでいる。

同時に、その先にある未来に手を伸ばしたくて、アクセルペダルも踏んでいる。


まずは車から降りて、障害物をどかす。
──つまり、過去と決別すること。



「あと、もう1つ。これが1番大事かな」