ひだまりで誓う桜色の愛

「どうしても決められないって時は、花言葉を参考に選ぶといいよ」

「ありがとう。いやぁ、桜月は物知りだな。お父さんの自慢の娘だ!」



ハッハッハと笑いながら背中を叩く父。


役に立って良かった。けど……もう少し声抑えてくれないかな。ここ、居酒屋さんじゃなくてお花屋さんだからさ。

大きすぎて店中に響いてるって。



「お礼に1本買ってあげるよ。何がいい?」

「じゃあ……ラナンキュラスで」



ボソッと答えて周りを見渡すと、案の定、お客さんの注目の的になっていた。

耐えきれず、「鉢植え見てくる」と言い残して店の外へ。


悪気があったわけじゃない。久々に娘とおでかけできてテンションが上がってただけ。

大丈夫。私はもう元気だから大丈夫……。



「桜月っ、お待たせ」



鉢植えの花を眺めて心を落ち着かせていると、肩をポンと叩かれた。



「えっ? もう終わっ、うわっ」

「あははっ。引っかかった」