この一連の吉夢と運の良さは、おそらくこの夢から始まったと思う。
 私の夢の中には、いくつかの仮想的な場所が存在しているらしい。
 実在している組織の建物なのだが、その構造や景色が微妙に違う。
 例えば最初の夢──『少女の囁き』と名付ける──の舞台は、仮想的に私の脳内で作られた学校であった。
 3年間通った高等学校である。制服や夢の登場人物は現実のまま、建物だけが少し変化している。
 言うなれば、3DCGソフトの制作画面のような白地に細い黒の線が縦横に張り巡らされた空間に校舎がドーンと建っていると言うのが、「仮想的」の意味である。