その日は、何やら魔女のような格好をした女性が、小説を持ち込んできた。

私がその人の応対をした時に、

「どういった内容か、簡単な説明をお願いします」

そう言うと、魔女風の彼女は、

「ヒロインの前世はこの町の住人なのですが、中世のヨーロッパ風の異世界に転生し、そこで幸せな恋愛をするというお話です」

やれやれ…またこのパターンか。

地元が舞台となると、私小説っぽいものもたまにあるが、大半は、先述のような、全国区で流行りの要素を無理矢理、地元を舞台にしている感じだ。

更に苦しいやり方としては、主人公を異世界に転生させ、結局、地元は関係なくなっている。

つっこみたいのは、簡単に主人公が死んでしまい、転生先が何故、中世のヨーロッパ風なのか。

転生というと、仏教を含め、本来アジア圏の宗教の概念にも関わらず、転生先がヨーロッパ風というのも、よくわからない。