あぁ…もう、やってられないわ!

今日もまた、オンラインだったり、直接の持ち込みだったり、素人作家による有象無象の恋愛小説ばかり読まされ、辟易している。


畑中アリーチェ、色気より圧倒的に食い気、22才の新入社員。

地元の大学を卒業後、地元で大人気の情報誌である【Alice】を扱う有栖川出版に勤務している田舎娘だ。

就職の際、私の名前は雑誌と同じスペルなので、恐らく有利だったと思う。

女手ひとつで私を育ててくれた母のため、高校生の頃からバイトをし、大学からは、奨学金とバイトで、学費はどうにか自力で工面してきた。

食べることが生き甲斐の私は、グルメ漫画家になるのが夢だったが、才能のなさは判っていたので、取材という名目で食べまくりたいと思い、ここに就職したのだが…。

Aliceの読者の大半が女性ということもあり、新たな企画として、素人参加型恋愛小説の連載の企画も始まっていた。

「恋愛小説は、若い女の子に担当してほしい」

そんな理由で、よりによって、恋愛小説担当になってしまった。