僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

「ありがとう。じゃあ、中入って」

天宮くんはそう言うと、部室のドアを開けた。

断り切れなかった手前、私はぎこちなく天宮くんの後に続く。

初めて見る写真部の部室は、十畳くらいの空間だった。

図書館や体育倉庫みたいな、隅々まで掃除されていない部屋独特の匂いがする。

入って左側の壁は一面が棚になっていて、雑多に本やファイル、段ボール箱が詰め込まれていた。

写真部感満載の、写真集らしき分厚い本も並んでいる。

反対側の壁は黒板だった。写真が所せましと貼られている。

蛍光灯の真下には、部屋の大半を占めている長机が置かれている。

周りにはパイプ椅子が乱雑に置かれ、女子と男子がひとりずつ座っていた。

女子はパソコンと向き合っていて、男子は望遠レンズを真剣に磨いている。

「え、なになに? 見学の子? 先生からは聞いてへんけど」

女子の方が立ち上がり、よく通る声でそう言った。

黒髪ショートで丸々とした目が印象的な小柄な人だ。