僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

スピーチコンテスト当日。

会場となる市民ホールの座席で、私は緊張でガチガチになっていた。

自分の番が近づくにつれ、緊張で視界すらぼやけてくる。

登壇する人、皆がうますぎるのだ。

明瞭な喋り方に、ハキハキとした表情。あんなの、私には無理だ。

今さらだけど、場違いなんじゃないかという迷いすら生まれる。

「夏生さん、大丈夫ですか?」

端から見てもカチンコチンだったのか、隣にいる水谷先生が心配そうに聞いてくる。

「大丈夫です」

そう答えるのがいっぱいいっぱいだった。

前の登壇者が退席し、私の名前が呼ばれる。

講演台に立ち、会場に視線を移したとたん、座席を埋め尽くす人々の姿が目に迫る。

これまでを遥かに超えた緊張がぶわっと押し寄せ、頭が真っ白になった。

震え声で、タイトルを読み上げる。

「私の灰色の世界」

私の声がマイクを通り、会場いっぱいに響き渡った。