「……大丈夫、か?」

「あ、彩くん……」


あ、れ……なんで涙が……そっか、私怖かったんだ。


「うっ……怖かった、よ……」

「……もう、俺がいるから大丈夫だ」


再びぎゅっと抱きしめられて、私は安堵して力が抜けてしまった。

そのため、なんと私に触れられなかった彩くんは私をおんぶして部屋まで連れてってくれたのだった。


落ち着く背中、なんだか不思議だった。

シンデレラみたいに、王子様が迎えに来てくれたわけじゃないけど……。

なんだか、今の彩くんはカッコいい騎士様みたいだったな。


そして、後日私が嫁と言われたことと、心配して私についてきてくれていた彩くんを知ることをまだ知らない。