「彰、お誕生日おめでとう」

俺は、思わず右手で口元を覆った。

「……すっかり忘れた」

「そうだと思ってた」

クスクスと、砂月が笑う。

「本当はね、向日葵の生花も一緒にプレゼントしようか悩んでたの。でも女の子が、男の子にお花ってどうかなって、それで、駿介君に相談したの。……結局、カヨおばあちゃんの事とか色々あって、ハンカチだけになっちゃったんだけど……」

「砂月……ごめんな」

知らなかったとはいえ、駿介に嫉妬した自分が恥ずかしい。

再び頭を下げて、バツの悪そうな俺を見て、砂月は、クスクスと声に出して笑った。

「砂月、ありがとう」

手のひらに広げたハンカチの刺繍を、俺は何度も目で撫でた。

「なぁ、ところでさ、何で向日葵なんだ?」

砂月は、少し目線を(そら)に泳がせた。

「……彰が、向日葵に似てるから」

それだけ言って、砂月は、少し意地悪く笑うと何も言わなかった。

ーーーー向日葵に似てる?俺が?金髪だからか?