【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

 私のワガママに付き合わせてしまう形になる。


 私を守ろうとしてくれる岸には、大変な思いをさせてしまうだろう。

 でも、愛良のことは何があっても見捨てられない。


 大事な私の可愛い妹。

 姉思いの、優しい妹。

 愛良の一番はもう私ではなくなってしまったし、その一番は愛良を死ぬ気で守ってくれると確信してる。


 私の出る幕じゃないのかも知れないけれど、だからと言って見捨てる理由にはならない。

 ただ、それはやっぱり私のワガママでしかないから……。

 だから、岸には申し訳なく思う。

 でも――。


「……いーよ。惚れた弱みってやつだ、付き合ってやるさ」

 どっちにしろ今は逃げられないしな、と皮肉気に笑いながら続けた。


「ありがと……」

 もう一度お礼を言って微笑む私の手を岸は強く握ってくれた。


 こんな時だっていうのに、どうしようもなく岸が好きだと感じてしまう。


 思えば、出会いは最悪。

 初めはどちらかというと恐怖の対象だった。

 二度目に会ったときは、私の友人を操ったり愛良を狙う月原家の人たちの協力をしていて、ハッキリ言ってしまうと敵。

 恐怖が、怒りに変わった瞬間だった。


 でも、同時に私の中の何かを呼び起こされたときでもあった。

 強引に開かれていく唇。