「朝霞から聞いたが、君はそろそろ次の処置をしなければならない時期だったね? このまま血を抜かずにいたらヴァンピールになってしまう」

「っ!」

「知っているかい? ヴァンピールはね、理性のない獣のような存在に見えるが、多少は(あるじ)――自分をヴァンピールにした吸血鬼の指示に従うんだ」


 そんなこと知るもんかと言ってのけたかったけれど、嫌な予感に耳を澄ませてしまう。


「だから、何の指示も受けていないヴァンピールは一先ず主のもとへ向かう」


 話を聞きながら、ドクドクと血の流れる音が聞こえる様だった。

 呼吸が荒くなる。

 泣きたくなりそうなのを必死でこらえた。

 だって、つまり大橋さんは――。