「っー⁉」


 チラリと見た方向には、杉浦さんがいた。

 目を見開いて私たちをガン見している。

 途端に溶けそうだった理性が覚醒して私はバイクの方へ櫂人を押した。


「は、早く行こう!」

「え? あ、ああ」


 私は慌てて櫂人をうながし、バイクでその場を後にする。

 杉浦さんの表情はただ驚いている様に見えたけれど、あの噂好きのおばさんだ。

 あの後何を言いふらされるのかと考えると頭が痛い。

 そういう意味でも、櫂人の家に住むことになって良かったのかもしれないと思った。

***

 ……やっぱり注目されてるな。

 今日は前とは違ってバイクの置き場所から校門まで櫂人と一緒に歩いて行った。

 バイクに乗っていなくても注目されているから、やっぱり初日も校則云々じゃなくて櫂人と一緒だから注目されていたんだね。