昼間の茜渚街は昨夜の恐ろしさが嘘のように賑やかだった。

 休日というのもあるんだろう。私服の若者も結構いる。

 櫂人の家を出たのは昼近かったこともあり、昼からやっている飲食店目当てに来ている人が多いようだ。

 注意喚起は主に夜この街に来てはいけないというものらしく、昼間は気にせず来る人も多いんだと櫂人に聞いた。

 その櫂人は、私と手を繋いで迷わずどこかに向かっている。


「櫂人、どこに向かってるの?」

「《朱闇会》の集会場所だ。幹部だけなら家の一階使ってもいいんだけどな、人手が必要そうだからもうまとめてお前の顔見せをする」

「その顔見せって何? というか、人手ってもしかして……」

「薬を探すための人手な。あと、俺の彼女である恋華の紹介をするんだよ」

「紹介⁉」