「……でも、それなら今はどうしているんだ? この辺りに親戚がいたのか? それとも一人暮らし?」


 そして、過去よりも今のことを聞いてくれる。

 まだ半年しか経っていないから、思い出すのは辛いって気付いてくれたみたい。

 そんなちょっとした優しさに、胸が温かくなった。


「親戚といえるような人はいないんだ。今は事故のとき助けてくれた人が私の主治医兼後見人として一緒にいてくれてるの」

「主治医?」

「うん。助けてもらったときにした血液検査で、病気が発覚したの。あ、でも定期的に処置すれば大丈夫な病気だから」


 直接的に生死に関わる病気じゃないと説明する。