聖夜に舞い降りた灼熱のサンタクロース

か細い声で返事をしつつ、遠ざかっていく彼らを眺める。


サークルと学年は違えど、学部は一緒。取ってる授業が同じ可能性もある。

関わりゼロだったとしても、去年顔を合わせてるわけだし。滝田先輩に紹介されて、交流を重ねるうちに意気投合したんだよ。多分きっと。


姿が見えなくなり、中腰から元の体勢に戻ると、純次くんが「ねぇ」と口を開いた。



「その自習活動、俺も参加していい?」

「え。人混み嫌いなんじゃなかった?」

「あの酸素濃度が低い空間に2人だけで行かせるわけにはいかないよ。5年以上行ってないけど、一応近道と穴場は知ってるし」



まるで都会を舐めるなとでも言いたげな口ぶり。

彼の言う通り、私も清水くんも新参者。土地勘のある地元民がいるのは心強い。

それにムードメーカーの純次くんがいたら、多少疲れも紛れるかもしれない。

けど……。



「また遅くなったら、お兄さんが心配するかもでしょ?」

「まぁ……」

「俺、明日サークル休むからさ。お母さんが腰痛めちゃって。進市に会ったら伝えといて」



純次くんは腕時計をチラリ見ると、「じゃ、よろしく」と短く言い残して去っていった。

気遣ってくれてありがとう。でも、痩せ我慢しなくていいからね。

出入口に向かう後ろ姿にそう心の中で声をかけるも、脳裏には仲睦まじく笑い合う長身の男女が焼きついていた。