聖夜に舞い降りた灼熱のサンタクロース

以前の私なら、オシャレくらい自由にさせてよって突っぱねてたけど……この1年で、人は見かけによらないことを身をもって知った。

ミスコンのことも打ち明けたら怒り心頭に発してたから、きっと兄なりの注意勧告なんだと思う。


上着をハンガーラックにかけて退室し、リビングのドアを開ける。



「大丈夫だよ、ふみちゃんの好きなところで。……いいよいいよそんな。元は俺が誘ったんだし」



受話器を耳に当てて会話する兄の横を素通りしてキッチンへ。冷蔵庫からお茶を取り出し、無言でグラスに注ぐ。


学生時代は友達を招いてお祭り騒ぎ。社会人になってからは毎日バタンキューで帰宅。

恋愛のれの字もなかった兄に、どうやら最近彼女ができたらしい。



「わかった。駅ね。……うん。もうお風呂入ったから。ふみちゃんは、時間大丈夫?」



ゴクゴクゴクとお茶を味わうことに集中する。


今年に入ってから、夜は毎週受話器を独り占め。さらに今月はポケベルを買ったため、毎日着信音が鳴り響いている。


遠慮なく、とは言われたけれど、それは1人で家にいる場合の話。デート中に水を差すようなことはしたくない。

次の休息日にでも防犯ブザーを買いに行くか。


素早くグラスを洗ってリビングを後にし、お風呂に入りに行った。