聖夜に舞い降りた灼熱のサンタクロース

その場にしゃがみ込んで再現する清水くん。

顔も声質も似ても似つかないが、目を細めて頬を緩ませる姿が即座に想像できて苦笑いする。



「前田さんちのワンちゃんはどんな子だったの?」

「元気っ子だった。学校行く時は尻尾ブンブン振って見送ってくれて、帰りはピョンピョン飛び跳ねて迎えてくれてた。とにかくお散歩が大好きで〜……」



公園を駆け回る愛犬を思い浮かべる。


彼と同様、私たち前田兄妹も動物好き。中でも犬が好きで、昔は兄妹全員で散歩に行っていた。


実家にいた頃もお散歩中のワンちゃんをナンパしていたけれど、独り立ちしてからも続けていたとは。

お兄ちゃんばっかりいいなぁ。私もぜひ交流させていただきたい。バイトが休みの日は並走しようかな、なんて。絶対嫌がられそうだけど。



「元は外犬だったんだけど、何回も脱走するから途中から室内で飼い始めたんだ。まぁ、中も中で大変なんだけどね。イタズラはするし部屋は散らかるしで」

「服も毛だらけになるしね」

「そうそう。でも可愛いから許せちゃうんだよねぇ〜」



動物トークに花を咲かせていたら、別れ道が見えてきた。

今日は居酒屋からなので30分強。いつもより10分長いけれど、体感は5分。

楽しい時間はあっという間とは、まさにこのこと。