聖夜に舞い降りた灼熱のサンタクロース

──カランカランカラン。

賽銭箱に小銭を入れた後、綱につながれた鈴を鳴らした。



「神様、ご無沙汰しております。前田 照未です。今年も1年、ありがとうございました」



両手を合わせ、1年を振り返るとともに感謝を述べる。

12月下旬。年末休暇を使って実家に帰省し、近所の神社にやってきた。



「これからも自分なりに頑張りますので、応援よろしくお願いします。いつも温かく見守ってくださり、ありがとうございます」



お礼で締めくくり、姿勢を正して一礼。

ご神木の下に移動して、両腕を広げて鼻から大きく息を吸い込む。


年末詣と初詣、日々の参拝を始めて、かれこれ12年。

初めて訪れたのは、地域のゴミ拾い活動に参加した小学1年生の時だった。


全身で神聖な空気を味わいながら、周囲をぐるりと見渡す。


拝殿も狛犬も木々も当時のまま。何1つ変わっていない。


冬場は葉が落ち着いた色になるから物寂しさを感じるけれど、私は好き。特に年の瀬は人が少ないから、神様を独り占めしている気分になれる。

せっかく寒い中足を運んでも、思いが届かなかったら虚しいし。

そのため初詣も、忙しい神様の立場を考えて、三が日を過ぎてから行っている。