聖夜に舞い降りた灼熱のサンタクロース

「ごめん。あの時はまだ噂で耳にしただけだったから、確証が持てなくて。俺も、先輩を疑うようなことしたくなかったから……」

「ううん! 気にしないで! 私も元々、あまり乗り気じゃなかったし」



眉尻を下げる彼に微笑みを作る。


今回は図案の制作が難航していたため、写真と書類を準備する時間が取れず、応募は見送った。


タイミングに恵まれたなと、つくづく思う。


もし、部長が副部長の思惑に気づかなかったら。清水くんが噂を真に受けず、背中を押していたら。

危うく先輩たちのおもちゃにされていたかもしれない。


気にしていない。ただ、少し胸が痛むだけ。


コンテストが閉幕し、広場を後にした私たち。

校内を回っていると、『スタンプ』と書かれた赤いのぼりを見つけた。

当番の同級生に用紙を渡し、スタンプを押してもらう。



「全種類制覇おめでとうございまーす。受付に持っていったらお菓子がもらえますんで」

「ん。ありがと」

「ありがとう〜」