聖夜に舞い降りた灼熱のサンタクロース

席を立ったタイミングで副部長に声をかけられた。笑顔を作ってにこやかに返答する。



「この後、ちょっと時間ある? 話したいことがあるんだけど」

「はい。いいですよ」



辺りをチラッと見渡した後、耳打ちで尋ねてきた副部長。少し不思議に思いながらも了承し、彼に着いていく。



「前田さんは、人前に出るのとか平気なほう?」

「そうですね。自ら進んで出ることはあまりないですけど、バスケやってた頃、毎年試合に出ていたので。人目につくことには慣れてはいます」

「毎年!? レギュラーだったの?」

「はい。ありがたいことに、中学も高校も、1年の頃から出させてもらってました」



階段を下りながら質問に答える。


小学校から高校までのおよそ10年間、公式試合も練習試合も毎回選ばれていたので、注目を浴びる機会は多かった。

といっても、特別優れていたわけではないんだけどね。学校も地元の公立校だったし。


全国まで進んだことはあったけど、それは中学時代の話。高校に上がれば、私よりも背が高くて体格のいい選手なんかゴロゴロいた。

強豪校の人からしたら、私の実力は可もなく不可もなく。せいぜい真ん中くらいだったと思う。