聖夜に舞い降りた灼熱のサンタクロース

購入した水を取って、再び歩を進める。


副部長はロビーにいるし、3階にいるのは部長1人だけ。

いきなり物陰から出てきたとか、懐中電灯で照らされてた顔が不気味だったとかで驚いたんだと思う。

……大丈夫。小学生も利用する場所だ。いわくつきではないはず。



「ここ……だよね? 部長がいるの」

「うん。だと、思う」



階段を上り、恐る恐る廊下を見渡す。

右も左も真っ暗。物音1つもない。

2階では微かに下から話し声が聞こえていたが、3階では俺たち2人の声のみが響く。



「心細いなら、しがみついてもいいよ」

「いいの……? 彼女さんに、悪くない?」

「大丈夫。いないから」



顔を正面に向けたまま、左腕を差し出した。

「ありがとう……」と消え入りそうな声で返事をした彼女が遠慮がちに腕に触れる。



「前田さん」

「ん?」

「……って、男兄弟に挟まれてるって言ってたよね? いくつ離れてるの?」

「上が4つで、下が2つだよ。清水くんの兄弟は、何歳差?」

「俺は、前田さんと反対で、上が2つで下が4つ。ちなみに従兄弟のお兄さんとは4つ離れてて……」