聖夜に舞い降りた灼熱のサンタクロース

「皆さま、右側に赤い屋根の建物が見えますでしょうか? あちらは今年でオープン5年を迎えるステーキレストランです」

「まだランチタイム前ですが、既に行列ができてますねぇ。部長は行ったことあります?」

「はい。月に1度は訪れていて、僕自身お気に入りのお店でもあります。そして左側に見えている黒い建物は、我がサークルのビジュアル担当、酒井(さかい)の住処です」

「はははっ、照れるなぁ。そうなんですよ、実はホテル住まいで……って、そんなわけあるかっ!」



コントみたいなやり取りに顔を上げたら、いつの間にか副部長の服がTシャツとジーパンから制服に変わっていた。

部長も、頭には帽子、手には旗を持って、バスガイドになりきっている。


初日でこの盛り上がりようなら、最終日はお祭り騒ぎだな。先輩が運んでたクーラーボックスにも缶ビール入ってたの見たし。明日の夜は半分飲み会状態になりそうだ。



サービスエリアで昼食を取り、再びバスに揺られること約30分。目的地に到着した。



「荷物を運びましたら、2階の多目的室Aに集まってください」

「何か持っていく物はありますかー?」

「いえ。手ぶらで大丈夫です。貴重品は個人で管理していただく形になっていますが、心配な方は持ってきていただいても構いません。その際は──」