聖夜に舞い降りた灼熱のサンタクロース

純次くんにもらった地図を頼りに歩道を歩いていると、地下街と書かれた看板を見つけた。

OLさん集団の後に続いて、自分も中に入る。



「おおっ。結構人いるんだなぁ」



階段を下りて真っ先に視界にとらえたのは、颯爽と歩く人々だった。

私と同年代の若者に、サラリーマンのおじさん、年配の老夫婦。

天井に吊り下げられている案内看板には、外国人観光客向けに英語の表記がある。


全体的な内装は地上のお店と変わらないな。あそこのカフェなんか、階段の近くまでお客さんが並んでる。

梅雨入りしたらもっと増えそう。あちこちで行列ができたりして。


案内地図を見てみたら、私がいる場所は飲食店のエリアだった。


和食、イタリアン、中華料理……へぇ、アイスクリーム屋さんもあるんだ。

だけど、どこも今行ったところで受付表に名前を書かされるか、カウンター席に案内されるかのどちらかだろう。


今日はトートバッグだからカウンター席でもいいんだけど……値段がなぁ。こないだテレビで紹介されてた定食、軽く2000円は超えてたし。

既に授業中からお腹が鳴りまくっているが、予算オーバーしてしまわないかと考えると、なかなか足が動かない。



「前田さん……?」