聖夜に舞い降りた灼熱のサンタクロース

かごに入れたバッグからスマホを取り出し、友人から来たメッセージを見せる。


時代に淘汰され、あえなく店を畳んだ岸元さん。

行くあてもなく途方に暮れていた矢先、学生時代の恩師に再会。彼の勧めで地元に帰郷し、ホテルのキッチンで働き始めた。


現地で修行を積んできたこともあり、料理の腕はピカイチ。入社してすぐに頭角を現し、あれよあれよと料理長に昇格。

現在一流のイタリアンシェフとなって、全国のみならず海外も飛び回っている。



「来年の春にでも会おうよって言われてるけど、行く?」

「もちろん! あ、でもお酒は1杯だけにしてよね」

「わかってるよ」



休み返上で家のために出稼ぎに行っていた純次は、卒業後、内定をもらった会社に就職した。

今は別の会社に勤めているが、新卒で入った職場の同僚と結婚し、隣町に住んでいる。



「今頃、家族みんなでご飯食べながら、いつサンタになろうか考えてたりして」

「1番下、まだ小学生だもんな。何あげるんだろう」

「去年はお金だったみたいよ。朝起きたら『英世がいっぱい入ってる〜!』ってニコニコしながら報告してきたって」

「裸のまま入れたのかよ」