聖夜に舞い降りた灼熱のサンタクロース

同意したのもつかの間、キッパリと言い切った妻。「相変わらずブレないな」と苦笑いしながらメニュー表を開く。


昨年は出入口付近の席しか空いておらず、肌寒い思いをしたため、2ヶ月前に予約を入れた。

妻の他、子どもたちにも『ビビりすぎじゃない?』『そんなに急がなくても……』と突っ込まれたのだが、今年はイブも当日も休日。

例年以上に混むだろうと思っていたら、案の定、外には行列ができており、開店から20分で満席に。


毎年場所は違うし、料理もさほど変わりないから、どこに座っても一緒なのだけど。

今年は僕らにとって、特別な年だから。


呼び出しボタンを押してスタッフを呼び、サイコロステーキを2つ注文した。

BGMのクリスマスソングを聴きながらデザートのページを見ていたら、「ええっ!」と向かい側から驚く声が飛んできた。



「岸元さん、帰ってくるって!」



妻が興奮気味にスマホ画面を見せてきた。



「知ってる?」

「うん。家出る前に見たし。さっき純次からも届いてたから」