聖夜に舞い降りた灼熱のサンタクロース

尋ねた途端、ゴホッゴホッと咳き込み出した純次くん。

見かねた店主のおじさんがお冷を持ってきてくれたけど、タイミング的に、料理ではなく私の質問が原因だろう。

お冷を飲みながら、戻っていく背中に「すみません……」と小さな声で謝る。



「いや、ないけど……。どういうこと? 誰かにハグでもされたの?」



今度は自分が咳き込んだ。再び店主の彼が心配そうな眼差しで様子をうかがってきたが、「大丈夫です。すみません」とジェスチャーで返す。



「んー……まぁ、そう、なのかな?」

「なんで疑問形。マジなの?」

「……うん」



小さく頷くと、当時の情景がよみがえって一瞬にして顔が熱くなった。さらに辛い物を食べた後だからか、身体中が火照って汗が止まらない。

三度お世話にならぬよう、お冷を一気にのどに流し込み、メニュー表の横に置かれた箱ティッシュを1枚取った。



「誰?」

「……清水くん」

「え、進市!? 付き合ってるの?」

「ううん。採用が決まった時に知らせに行ったんだけど、感極まって泣いちゃって。そしたら大丈夫だよって、慰める感じで抱きしめられて……」