聖夜に舞い降りた灼熱のサンタクロース

兄も私に似て目鼻立ちがハッキリした顔立ち。

口を開けばこの通りだが、黙っていると威圧的に見えるため、学校では笑顔を意識していると、大学入学前日の夜に話してくれたことがある。


これだけ努力を積み重ねても、必ずしも良い結果が得られるとは限らないのか……。



「俺の場合、1・2年の時にサボったつけが回ってきて、スタートが出遅れたからってのもあると思うけどな。夏休み中も今の照未みたいに毎日就活してたし」

「メンタルは、大丈夫だったの……?」

「最初の頃は、ヘコんだけどな。不採用通知見るたびに泣いてた。こんなにも受け入れられないのかって。でも、結局入れる会社は1つだし。場数踏むごとにだんだん扱い方も掴んできて、ダメだったらハイ次! ってすぐに切り替えられるようになった」



ほらよ、と再びチョコを渡される。

開封途中だったチョコを口に運び、両手をかごの形にして受け取った。


……やっぱり私が、間違ってた。


スタートラインに立てない、運に見放されていると言い放ってしまったけど……書類が通らない人からしたら面接に進んだだけでもありがたいこと。

人知れず苦悩を抱えていたのは一緒でも、流した涙の数は兄のほうが上かもしれない。