聖夜に舞い降りた灼熱のサンタクロース

「やっぱり、私が悪かったよね……」

「まぁ、突然キレたのは良くなかったな。でも、清水くんもちょっと余計な一言があったから……8対2ってところだな」



丁寧に比率まで答えてくれた。

中立的視点。家族だからと過度に忖度せず、ハッキリと濁さず伝えてくれるところが兄の長所でもある。



「最近口数が減ってきてるなと思ったら……まさかそこまで追い詰められてたとは」

「……心配かけて、ごめんなさい」

「いや、別に怒ってるわけじゃねーから」



すると、兄は立ち上がってキッチンへ。

お徳用のチョコレートを手に戻ってくると、「食いな」と私の前に全種類分4つ置いた。


お菓子を与えれば元気が出るとでも思っているのだろうか。チョコは好きだからありがたく受け取るけども。



「お兄ちゃんは、どうだったの?」



開封して一粒口に運び、兄の就活時代を尋ねる。

時期的にまだそこまでバブルの影響はなさそうだから、私ほど苦労はしてなさそうだけど……。



「落ちた?」

「ああ。景気が良かろうが悪かろうが、落ちるもんは落ちるからな。ほとんどは書類落ちだった。今の会社以外、内定はゼロだったよ」