聖夜に舞い降りた灼熱のサンタクロース

「うん」

「その目、誰にやられた?」



夕食を平らげてお茶を飲んでいたら、案の定、充血した目について言及された。

水で洗い流して保冷剤で冷やしたけど……そんなすぐには治まらないよね。あぁ、玉ねぎがあったら誤魔化せたのに。食べるのが遅くなってでも買いに行けば良かったかな。



「別に、悪口を言われたとかじゃないよ? ちょっと……喧嘩しちゃって」

「友達と? 先生と?」

「……友達」



今更嘆いても無駄なので、全て話した。

就活が上手くいかなくて焦っていること。それで清水くんに八つ当たりしてしまったこと。

時折、感情が込み上げてきて声が詰まってしまったけれど、兄は急かすことなく、静かに聞いてくれた。



「なるほどな……」



腕を組んで、内容を咀嚼するように頷いている。


のびのびと自由に過ごさせてくれた両親とは反対に、過保護で心配性の兄。

その性質は実家にいた頃から健在で、どのくらいのレベルかというと、部活で帰りが遅くなった時に茶太郎(ちゃたろう)と一緒に学校まで迎えに来たほど。当時は恥ずかしくて友達に会わせるのが心底嫌だった。

でも、なんだかんだ頼もしくて。困った時は親よりもまずお兄ちゃんに相談してたっけ。