聖夜に舞い降りた灼熱のサンタクロース

祖父母も、私の誕生を喜んでいた。

両方とも女の子の孫は初めてだったためか、それはそれは可愛がられた。

毎回訪問するたびに、『何か食べたいのある?』と尋ねられては、『あそこに行きたい!』と言えば『じゃあ行こう!』とすぐに車を出してくれていた。


平穏で、温かくて、安心感に包まれていて。

それでも反抗期の時期は口答えしたし、さすがに大学進学の際は揉めた。


悲しさ、悔しさ、寂しさ。幸せや喜びと同じくらいたくさん経験した。

けど、トラウマになるような大きな失敗や挫折はなく、自己形成の土台としては非常に良質で、恵まれた環境だった。

我ながら、順風満帆な人生だったと思う。



「ただいまー」



お湯張りを始めたタイミングで兄が帰ってきた。



「おかえり。今、お風呂溜めてるから。ご飯も軽くだけど作っといた」

「サンキュー。あ、これ、届いてたぞ」



靴を脱ぎながら郵便物を渡してきた。

真っ白なB5サイズの封筒。差出人は、先週面接を受けに行った会社。